バンクーバーでの仕事探し体験や教わった就活・職探しのコツ等、スキルワーカー移民のカナダ移住準備に役立つ情報を書き留めてます。


by workincanada

Foreign Credentialと資格証明の準備について(参考事例)

"International credentials lose value in Canada"
「カナダでは外国の資格は評価されなくなってしまった」
(Globe and Mail 2004年1月30日)

ケニヤからトロントに移住してきた女性、Gurmeet Bambrahさんの話。
彼女の英語は完璧。建設業界で事業を起こして18年間続けてきた48歳。世界銀行の資金拠出を受けて、ある都市計画の一環で水処理・ごみ処理施設を設計して工事を指揮したこともある。3分野で工学の学位を取得していて、イギリスのCivil Engineers協会のフェローでもある。女性フェローは世界でも18人しかいないが彼女はそのうちの1人。

そうした彼女が3年前にトロントに来て同じ建設の分野で仕事を探そうとしたのだけど、面接にすらたどり着くことができなかった。
彼女のその後の経緯をたどりながら、妥当な「Foreign credential recognition」を受けることができなかった”失敗事例”を見ていきます。

カナダ産業審議会(the Conference Board of Canada)によると、移民の「Foreign credential」を正しく評価しないことが、移民のスキルの有効利用を阻んでいて、それが高い失業率につながっている。このため、カナダは毎年10億ドル以上の損失をこうむっている、とのこと。

今回の記事のポイント:
職種によっては、credential recognitionについて、事前に出来る限りの調査と対策をしておく必要があります。
カナダ生活を経験した人にとっては周知の事実なのでしつこいかもしれないけど、日本で移住を検討中の人のためにも(過去の失敗事例から学ぶという意味でも)敢えてしつこく紹介します!
なお、ここではカナダ就職で重要なもう一つのキーワード「Canadian experience」も出てきます。



以下、適宜解説のコメントを入れつつ要約:

カナダに来て最初に、彼女はオンタリオ州プロフェッショナルエンジニア協会(The Professional Engineers of Ontario)にProfessional Engineer(P. Eng.)としてのライセンスを登録しようとした。
ところが、「”1年以上のカナダでの経験”無しにはライセンスは発行できない」との理由で却下された。
18年もの世界での経験があるというのに、”カナダでの経験”(Canadian experience)が無いために一からのやりなおしを余儀なくされたのだった。

ここで彼女がはまり込んだ状況は、
 → P. Eng.の資格がないと”カナダでの経験”が詰めない。
 → しかし”カナダでの経験”がないとP. Eng.の資格が取れない。
いわゆる「Catch-22」の状況(どうもがいても解決策が見つからない板挟み状態)。
これは多くの移民が直面する問題で、カナダではさして珍しい話ではない。

すっかりやる気を失ってしまった彼女が次にやったのはボランティア。
2003年のSARS流行の時期にマスクを配る係だった。
P. Eng.登録をあきらめた彼女はケニヤに戻り、2003年に投資家としてカナダに帰ってきた。現在はthe Council for Access to Professional Engineeringという協会のコーディネーターを引き受けていて、外国で経験を積んだエンジニアがカナダで就職する際に経験する様々な障害(barriers)に関する政府出資の調査に従事している。

同様の調査はトロント大学法学部でも”Making the Mosaic Work”と題して実施されていて(U of T の参考資料)、そこでは移民の免許・資格評価(credential assessment)問題とその対策について議論が行われている。
トロント大法学部Sujit Choudhry教授のコメント:
「カナダの移民政策と各州の規制団体との間の連携が取れていない。労働力不足を解消するために技能移民(skilled immigrants)を呼んできてるのに、彼らの外国での経験が評価されないのなら、何かが間違っている。」

1994年~2000年の間にオンタリオ州に来た移民のうち73%がエンジニアだったが、ここで資格を認められるためには試験を受けなおすか、場合によっては大学に入りなおして学位を再取得する必要がある。
彼女は資格の評価(Foreign credential assessment)をしてもらえずにハマッてしまった典型例です。そしてこの場合、Canadian experienceがネックになっていて、これも移民が最初の就職で直面することが多い障害の一つです。
ただし彼女は、カナダの就職で不利になり得る要素のうち、語学力以外のほとんど全てを背負っていた意味で少し気の毒すぎる例かも。
その要素をまとめてみると:
  • Canadian experienceがなかった
  • overqualifiedだった
     経験してきたプロジェクトの規模が大きすぎた。
     カナダでそういう仕事を(移民として)探すのは容易ではない。
  • 就職適齢期をやや外れていた(48歳)
  • ケニア出身なのでたぶんマイノリティ(visible minority)だったのでは
カナダで大学に行きなおせば資格は取り直せたのかもしれませんが、その頃には50歳代になっているので就職はさらに困難になっていたはずです。

なお、この記事で槍玉にあげられたThe Professional Engineers of Ontarioという団体、ここがGlobe and Mailの記事を訂正するコメントを発表しています(→これ)。
2003年2月の法改正(Professional Enginers Act)により、1年のCanadian experienceがなくてもP. Eng.として登録できるようになったのだそうで。
でも2003年って言ったって、、、それまでいったい何してたんだ。
状況が改善されたという意味では評価されるべきなのか。

最後にもう一度:
職種によっては、このcredentialがらみで深みにはまらないように十分に準備する必要があります。
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by workincanada | 2005-01-21 16:13 | カナダ就職・転職